京都学園大で画期的な教育改革 「偏差値重視の教育は間違っている」

京都学園大学で脱偏差値の実践力を育む画期的な教育がスタート

2018年4月1日、京都市右京区にある京都学園大学で入学式が行われ、同大学の理事長に就任した日本電産の永守重信社長兼会長が出席。永守氏は「偏差値重視の教育は間違っている」「私財をなげうって、この大学を大きく変える」と同大学の運営改革について強い決意を語りました。

永守氏は精密小型モーターで世界的シェアを誇る日本電産(京都市)を一代で築きあげた名経営者だ。その手腕を買われ、京都学園大の理事長に就任、大学の経営に乗り出すこととなった。

永守氏は「海外の大学の学生は卒業後、即戦力になるが、日本では一流大学を卒業しても、ほとんど即戦力にならない」と語り、即戦力となる学生を育成するためのカリキュラムを重視する考えを示しました。

また、「私は企業経営に携わり、大学生をたくさん採用する側にいたが、なかなか企業の欲しい人材が入ってこない。大学と採用する側との間でミスマッチが起きている。この現状をなんとか変えたい」とも述べた。

今後、永守氏主導で京都学園大学の運営改革が始動、大学名は2019年4月に「京都先端科学大学」に変更する予定だ。過去には大学名を変更することでイメージが一新され受験生が急増、偏差値が急上昇した他大学の事例もあり今後の動向は要注目だ。

2018年の最新データによると、京都学園大学の偏差値は42~49。平均値を下回る水準となっており、お世辞にも高いとはいえない。しかし、永守氏主導の運営改革で将来、偏差値の飛躍的ランクアップが期待される。

また、同大学では2020年4月に工学部の新設も構想中。他の大学にあるような普通の機械工学部を作るつもりはなく「一番とんがった大学を目指す」という

中国や欧州中心に世界的に市場が活性化している電気自動車をはじめ、ロボット、ドローンの普及を受け、急速に需要が高まっているモーター関連の技術に関しては日本の大学には研究者や専門家が少ないのが実情。新設する予定の工学部ではモーター関連の技術を重点的に教育し即戦力の学生を養成する考えだ。

京都学園大学は京都市内の京都太秦にキャンパスを置くが、大規模な実験設備を京都府亀岡市の京都亀岡キャンパスに整備する。電気自動車のテストコースやドローンの実験場を設ける構想もある。

永守氏は「大学で英文学を教える必要はない。企業が求めるのはしゃべれる英語だ」と語り、会話中心の実践的な英語カリキュラムを導入する考えだ。また、日本電産の協力の下、海外にある同社の拠点に学生を留学させ長期のインターンシップ(就業体験)をさせることで学生に職務経験を積ませる構想も明らかにしている。

永守 重信とは:日本電産の創業者。2017年3月時点の総資産は約3900億円で、日本長者番付で12位。1973年に日本電産をたった4人で創業。現在、モーターで世界トップシェアを誇り、関連企業を含め従業員数 約10万7千人、売上高1兆円を超える世界的大企業に育て上げた名経営者。「日本電産の公式HP

日本電産 創業精神伝える「プレハブ小屋」

売上高1兆円を超える世界的モーターメーカー「日本電産」の本社を訪れると、受付の横にある古びたプレハブ小屋が目に飛び込んでくる。日本電産の原点はこの小さなプレハブにある。このプレハブは1973年、たった4人で事業をスタートした当時の社屋だ。古びたプレハブは創業の精神を社員や来訪者に伝えるための大切なモニュメントなのだ。

資金も知名度も製品を製造するための機械もない、無い無い尽くしからのスタート。あったのは“日本電産精神”のみだった。

当時の経営方針は「どんなモーターでも試作します」。技術的に難しい注文にも「すぐ作ります」と即答した

日本電産の三大精神は「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」、できるまでやるから失敗なんてない

創業の精神は今や10万人を超える世界中の社員に叩き込まれる。創業メンバーは、今も何か行き詰ることがあると創業精神に立ち返ろうとプレハブ小屋を訪れ、創業時を思い出して壁を乗り越えて行こうと心に誓う。

1990年台後半から積極的なM&Aで急成長した同社は今や精密小型モーターの開発製造において世界一のシェアを誇り、売上高は約1兆2000億円。自動車のパワーステアリング、液晶パネル搬送ロボット、パソコンの冷却ファン、産業用大型モーターなど様々な精密機器を製造する世界的な企業に成長した。

世界一の企業を目指す日本電産の京都本社・中央開発技術研究所ビルは地上22階、高さ100.6mで京都一の高さを誇る。これは京セラ本社ビル(高さ95m)を抜き、京都市内、京都府内初の100mを超すビルでもある。

日本電産の創業者:永守重信氏は売上高1兆円の世界的大企業を1代で築いた名経営者だ。 永守氏は2030年度の売上高10兆円を目指す長期ビジョンを掲げ「10兆円までは私が責任を持ってやりますのでご安心ください」と力強く述べています。

責任を取りたくないサラリーマン社長や無能な創業2代目、3代目社長も多い中、これだけ頼りになるバイタリティーのある経営者は稀有な存在だ。

永守氏から株主・投資家向けのトップメッセージ

2030年度10兆円の大ボラを夢に変えていく

売上高10兆円というのは今は大ボラです。しかし、1973年に4人で創業した時はゼロからのスタートでした。その後売上高100億円、1,000億円、1兆円の大台を超えてきました。不思議なことにそれぞれの大台超えに要した年数はほぼ同じです。そして、一番苦しかったのはゼロから10億円までの道のりでした。

それを考えると2030年度に10兆円というのは決して不可能とは思いません。ホラは大ボラであってもいつか必ず実現すると私は信じています。実現に向けてまずは大ボラを小ボラに、小ボラを夢に変えていきたいと思います

出典:日本電産 株主・投資家向けトップメッセージ